2012年8月20日月曜日

脳進化の原動力は、原始哺乳類の嗅覚進化にある

>(大脳辺縁系-情動の脳)
 情動の脳の原点は、においを認識する嗅葉と呼ばれる部分だ。
 原始哺乳類の登場とともに情動を支配する脳に大きな変化が起こった。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=266511脳の進化の歴史
 ~脳幹・大脳辺縁系・大脳新皮質の発達と役割~)

生物進化の過程を「集団(群れ)が原点」という視点で追求しています
が、その中で、匂い(嗅覚)の果たす役割に着目しています。
両生類以降に嗅覚は主嗅覚系の他に鋤鼻嗅覚系(フェロモン系)の機能を獲
得し、さらに原始哺乳類以降に嗅覚機能を主として大脳辺縁系を飛躍的に
進化させています。

この嗅覚進化は、単に夜行性や土中生活という環境適応から生じたもので
はなく、母子関係や同類認識、雌雄認識のために必要不可欠だったものと
思われますが、何が決定的な要因なのかを追求していますが、まずは嗅覚
と脳の関係についてのレポートを紹介します。


脳の進化の原動力とは?- 米・テキサス大 リンク
gomori.com/2011/05/brain.html
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哺乳類の身体の大きさに対する脳容積の比率は、爬虫類の10倍もあるとい
う。どうして哺乳類は、これほど大きな脳を進化させる必要があったの
か。その原動力となったのは何だったのか。『Science』5月20日号に掲載
された論文によると、それはどうも嗅覚の進化と関係があるらしい。

1986年、ジュラ紀から白亜紀にかけての化石が出土することで有名な、中
国雲南省禄豊層で見つかった初期哺乳類MorganucodonとHadrocodiumの化石
を研究していた米・テキサス大学の古生物学者Timothy Rowe氏は、その頭
蓋骨の中に納まっていたであろう脳の形を調べたいと考えた。しかし、当
時はその貴重な化石を壊す以外に、その中身である脳の形を調べる方法が
なかったため、あきらめてしまったという。それから20年、Rowe氏はよう
やく、化石を壊さずに脳の形を調べることができる良い方法に出会えたの
だ。それは、X線によるコンピュータ断層撮影、いわゆるX線CTスキャンと
いう方法だ。

これによって得られた頭蓋骨内空間の形状や脳組織の痕跡から、脳表面の
詳細な立体画像を得ることができたRowe氏は、さらにその画像を、哺乳類
のルーツと考えられるキノドン類や、6500万年から1億9千万年前まで生息
していた他の初期哺乳類の化石、現生哺乳類270種の脳からのCT[スキャン
画像と比較し、時代と共に哺乳類の脳の形がどのように変化していったの
かを調べた。それらの画像はすべてこちらから見ることができる。

その結果、2億5千万年ほど前に生息していたキノドン類と1億9千万年前頃
生息していたMorganucodonの間で、脳容積は1.5倍ほど大きくなっており、
さらにMorganucodonに遅れること約1千万年後に現れた、現生哺乳類に最も
近縁なHadrocodiumではさらに1.5倍大きくなっていた。そして、その中で
特に巨大化していた脳の領域というのは、嗅球や嗅覚皮質といった、嗅覚
の情報処理に関わる場所だったのだ。この巨大化はさらに継続し、現生哺
乳類の直接の祖先が現れた6500万年前頃には、嗅球へ嗅覚刺激を送る入り
口である嗅覚神経の領域が10倍以上拡大したことが、鼻の骨の大きさによ
りわかった。

ではどうして嗅覚に関連する脳の領域が拡大したのだろう?
実は、今回の研究では、嗅覚に関連する領域以外に、体毛からの触覚刺激
を処理する領域、知覚と運動機能の統合に関連する領域なども拡大してい
た。これらのことから、恐らく、当時食物連鎖の最上位に君臨していた恐
竜たちから逃れるため、夜行性の生活を余儀なくされた哺乳類の祖先は、
暗闇で役に立たない視覚の代わりに、嗅覚や触覚、あるいはすばやい運動
能力などを発達させる必要があったからではないかとRowe氏は述べてい
る。脳は、最初から「考えるための道具」として進化したのではなかった
ようだ。
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ET

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